実家売却の3,000万円特別控除を使えるケース
被相続人居住用財産の3,000万円特別控除の5つの適用要件、2024年改正点、計算例、確定申告で必要な書類まで。最大数百万円の節税になる制度を整理します。
相続した実家を売却するときに最大の節税策になるのが「被相続人居住用財産の3,000万円特別控除」です。譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度で、適用できれば数百万円単位の税金が浮きます。
ただし要件が細かく、1つでも外れると一切使えません。事前に適用可否を確認しておくのが大事です。
制度の概要
2016年に始まった制度で、当初の期限は2019年でしたが、2027年12月31日まで延長されています(2024年税制改正)。亡くなった親が1人で住んでいた家を相続して、それを売却するときに使えます。
適用できる5つの要件
要件1:1981年5月31日以前に建築された家屋
旧耐震基準で建てられた家が対象です。1981年6月以降の新耐震基準の家屋は適用外なので、まず登記簿か建築確認済証で建築年月日を確認します。
要件2:区分所有建物(マンション)でないこと
2024年1月以降は要件が緩和され、相続開始時に被相続人が居住していた区分所有建物も適用可能になりましたが、原則は一戸建てを想定した制度です。
要件3:相続前は被相続人が1人で住んでいたこと
亡くなる直前まで親が1人暮らしだった、というのが基本要件。配偶者や子と同居していた家は対象外です。ただし、亡くなる直前に老人ホーム等に入居していたケースは、一定の要件を満たせば適用可能です(2019年税制改正)。
要件4:相続から3年経過する年の年末までに売却
相続が発生した日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却完了が必要。例えば2025年5月に相続なら、2028年12月31日が期限です。
要件5:売却額1億円以下
共有持分の合計で1億円以下。後から複数回に分けて売却した場合も合算されるので、最初の売却から3年遡る範囲の取引が判定対象になります。
家屋を残す場合と取り壊す場合
家屋を残したまま売却する場合は、耐震基準を満たすリフォームが必要です(売主が工事して買主に引き渡し)。それが難しい場合は、家屋を取り壊して更地で売却すれば適用可能です。取り壊し費用は売主負担になります。
計算例
実家を4,000万円で売却し、取得費200万円(取得費不明なら売却額の5%=200万円)、譲渡費用150万円(仲介手数料・取り壊し費用)とした場合。
- 譲渡所得:4,000万円 - 200万円 - 150万円 = 3,650万円
- 3,000万円特別控除適用後:3,650万円 - 3,000万円 = 650万円
- 所有期間5年超・長期譲渡として税率20.315%適用:650万円 × 20.315% = 約132万円
控除を使わなければ3,650万円 × 20.315% = 約742万円なので、約610万円の節税になります。
確定申告で必要な書類
- 譲渡所得の内訳書
- 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村の窓口で発行)
- 登記事項証明書(法務局)
- 売買契約書のコピー
- 耐震基準適合証明書または取り壊し関連書類
申告期限は売却した翌年の2月16日〜3月15日。書類が揃わないと適用されないので、売却前から書類リストを意識しておくとスムーズです。
適用できないケース
- 同じ年に居住用財産の3,000万円控除(自宅売却用)も使う場合は併用不可
- 親と同居していた家
- 1981年6月以降に建てられた家で、耐震改修も取り壊しもしない場合
- 売却額が1億円超の場合
- 相続人が空き家を賃貸に出していた場合(居住の用に供さなくなる)
確認ステップ
実家を売却する前に、次の3点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 建築年月日(登記簿か建築確認済証で確認)
- 被相続人の住民票記録(同居者がいなかったか)
- 相続発生日と売却予定日(3年期限内か)
※ 記事の内容は公開時点の情報に基づきます。最新の制度や数値は法務局・国税庁・各市区町村の公式サイトでご確認ください。本サイトは情報整理を目的とした民間運営サイトで、個別の法律・税務判断は行いません。具体的な手続きは司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。