相続登記の手順【自分でやる完全ガイド】
戸籍収集から法務局提出までの5ステップ。司法書士に頼まず自分で申請する場合のスケジュール感、つまずきやすいポイント、専門家に切り替えるべきケースを解説します。
2024年4月から相続登記が義務化されましたが、「司法書士に頼まないとできない」というわけではありません。書類を集めて法務局に提出する一連の作業は、平日に動ける人なら自分で完結できます。司法書士報酬5万-10万円の節約になるので、選択肢として知っておく価値はあります。
ただし、戸籍の数が多い、相続人が遠方にいる、不動産が複数あるなど条件が重なると一気に難易度が上がります。最初に全体像を把握して、自力でいくか専門家に任せるかを判断しましょう。
全体の流れ(5ステップ)
大まかな流れはこうです。
- 戸籍類を集める(被相続人の出生〜死亡、相続人の現在戸籍)
- 相続関係説明図と遺産分割協議書を作る
- 固定資産評価証明書と相続人の住民票・印鑑証明書を取得する
- 登記申請書を作成する
- 不動産所在地の法務局に提出する
全工程の所要期間は、戸籍収集に2-4週間、書類作成に1週間、法務局審査に1-2週間で、合計1-2ヶ月が標準的なペースです。
ステップ1:戸籍を集める
相続登記でいちばん時間がかかるのが戸籍収集です。被相続人(亡くなった方)の「出生から死亡まで」の連続した戸籍が必要で、転籍・改製を経ている場合は複数の役場から取り寄せることになります。
戸籍は本籍地の市区町村で取得します。郵送請求も可能で、戸籍謄本1通450円・郵便定額小為替+返信用封筒で届きます。役場の処理に1週間、往復郵送で2週間として、転籍が3回ある場合は6週間ほど見ておくのが現実的です。
法定相続情報証明制度を活用する
2017年に始まった「法定相続情報一覧図」の認証制度を使うと、戸籍束を1枚の認証書に置き換えられます。法務局で無料で発行され、銀行口座の名義変更などにも使い回せるので、相続手続きが複数ある人は最初に作っておくと後が楽です。
ステップ2:遺産分割協議書を作る
法定相続分どおりに分けるなら不要ですが、特定の相続人が単独で不動産を相続する場合は遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・実印・印鑑証明書を集めます。
書式は法務局のサイトに雛形があり、不動産の所在地・地番・地目・地積を登記簿どおりに正確に書く必要があります。1文字でも違うと却下されるので、登記簿謄本(法務局で1通600円)を取り寄せてから記載してください。
ステップ3:固定資産評価証明書を取り寄せる
登録免許税(評価額×0.4%)の計算根拠として、固定資産評価証明書が必要です。不動産の所在地の市区町村役場で1通400円程度。マイナンバーカードがあればコンビニ取得できる自治体もあります。
相続人の現在戸籍・住民票・印鑑証明書もこのタイミングで取得します。印鑑証明書は遺産分割協議書に添付する分が必要なので、相続人全員分(発行から3ヶ月以内のもの)を揃えます。
ステップ4:登記申請書を作成する
登記申請書は法務局のひな形を埋める形で作成します。記入事項は、申請人(相続人)の住所氏名、被相続人の住所氏名死亡年月日、不動産の表示、登録免許税額、添付書類のリストです。
ここで間違えやすいのが「課税価格」の書き方。固定資産評価額を1,000円未満切り捨てで記載し、登録免許税は計算結果を100円未満切り捨てで記載します。例えば評価額1,234,567円なら課税価格1,234,000円、税額は1,234,000×0.4%=4,936円→4,900円、という流れです。
ステップ5:法務局に提出する
不動産の所在地を管轄する法務局の窓口、または郵送で提出します。郵送の場合は書留にして、原本還付を希望する書類はコピーを添えて「原本還付」の旨を記載します。
審査期間は1-2週間。補正(修正)が必要な場合は法務局から連絡があり、その場で訂正するか、訂正書類を再提出します。問題がなければ登記完了で、登記識別情報通知(昔の権利証に相当)が交付されます。
司法書士に頼んだほうがいいケース
- 戸籍収集の途中で「明治の戸籍」など読みにくい古い戸籍に行き当たった
- 相続人が10人以上、または海外在住者がいる
- 不動産が3つ以上で、しかも所在地がバラバラ
- 遺産分割協議で意見が割れていて、調整が必要
- 平日に法務局や役所に行く時間が取れない
これらに当てはまるなら、司法書士に丸ごと依頼したほうが結果的に早く済みます。費用感はもう1本のコラム「司法書士に相続登記を頼む費用相場」で解説しています。
※ 記事の内容は公開時点の情報に基づきます。最新の制度や数値は法務局・国税庁・各市区町村の公式サイトでご確認ください。本サイトは情報整理を目的とした民間運営サイトで、個別の法律・税務判断は行いません。具体的な手続きは司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。