司法書士・行政書士・弁護士・税理士の使い分け
相続で関わる4つの士業の役割分担、状況別の相談先、料金相場、独占業務の違い。誰に何を頼むべきか整理して、効率的に専門家を活用するためのガイドです。
相続が発生すると、登記・税金・遺産分割・家族間の争いなど、複数の専門領域が絡んできます。それぞれ担当する専門家が違うので、「誰に何を相談すべきか」を整理しておくとスムーズに進みます。
4つの専門家の役割分担
司法書士
相続登記の専門家。法務局への登記申請が独占業務(司法書士法73条)。報酬5-15万円が相場。
- 担当:不動産の名義変更、相続登記、遺言書の検認手続きサポート、簡易裁判所の代理(認定司法書士)
- 強み:登記実務に最も慣れている、費用が比較的安い
行政書士
書類作成の専門家。遺産分割協議書、相続関係説明図、自動車の名義変更などを扱います。
- 担当:書類作成、相続調査、農地転用届、自動車の相続手続き
- 強み:比較的低コスト、書類作成全般に対応
弁護士
相続争いの解決の専門家。遺産分割協議が紛争化したとき、家庭裁判所での調停・審判・訴訟は弁護士の独占業務。
- 担当:相続紛争の代理、遺産分割調停、遺留分侵害額請求、相続放棄の代行
- 強み:法廷代理ができる唯一の士業、複雑紛争に強い
税理士
税務の専門家。相続税申告は税理士の独占業務(税理士法52条)。
- 担当:相続税申告、贈与税申告、譲渡所得税申告、税務相談
- 強み:節税スキームの提案、税務調査対応
状況別の相談先
シンプルな相続(争いなし、相続税不要)
司法書士1人で完結することが多い。相続登記+(必要なら)遺産分割協議書作成+銀行口座の名義変更まで対応可能。司法書士のうち遺産整理業務(預貯金・株式の解約手続き)を扱う事務所も増えています。
相続税の申告が必要
税理士+司法書士の組み合わせ。税理士に相続税申告を依頼し、不動産名義変更は司法書士に。両者が連携している事務所が便利です。
遺産分割で意見が割れている
弁護士+司法書士。弁護士が遺産分割を調整し、合意したら司法書士が登記。弁護士のなかには相続専門で税理士・司法書士と連携している人もいます。
不動産売却まで一貫して任せたい
司法書士+宅建業者(不動産仲介)。司法書士が登記を済ませてから、不動産仲介業者が売却。司法書士・税理士・行政書士・宅建業者が組んでワンストップサービスを提供する「相続コンサル」もあります。
誰にも頼まずに済むケース
次の条件をすべて満たすなら、自分で完結できる可能性があります。
- 相続税の基礎控除内(基礎控除を超えない)
- 相続人同士で円満合意できる
- 不動産が単純(1物件・市街地・境界明確)
- 戸籍が複雑でない(転籍少ない)
- 平日に法務局・役所に行ける時間がある
初回相談を活用する
多くの専門家事務所が30分-1時間の無料初回相談を実施しています。複数の専門家に相談して、自分のケースの全体像を把握するのが効率的です。
各士業会(司法書士会・税理士会・行政書士会・弁護士会)も、無料相談会を定期開催しています。
料金相場
- 司法書士:相続登記5-15万円、遺産整理10-30万円
- 行政書士:遺産分割協議書3-10万円、相続関係説明図1-3万円
- 弁護士:遺産分割協議の代理30-100万円(成功報酬は遺産額の5-15%)
- 税理士:相続税申告の場合、遺産総額の0.5-1%が目安
避けるべき悪質パターン
- 「●●万円ぽっきり」と総額のみ提示で内訳が不明
- 独占業務以外を引き受けようとする(行政書士が登記、司法書士が訴訟代理など)
- 急かしてその場で契約を迫る
- 必要のない追加サービスを勧める
※ 記事の内容は公開時点の情報に基づきます。最新の制度や数値は法務局・国税庁・各市区町村の公式サイトでご確認ください。本サイトは情報整理を目的とした民間運営サイトで、個別の法律・税務判断は行いません。具体的な手続きは司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。